⧉ 自動車運転代行業
自動車運転代行業とは
主に飲酒などの理由で、自分の車を運転することができなくなったお客さまに代わって運転し、お客さまの自動車を目的地(主に依頼者の自宅)に送るサービスです。「代行運転」とも言われます。
通常はドライバーが2名1組になって、1名がお客さまの車にお客さまを乗せ、それにもう1名が運転する随伴車が追走し、お客さまを目的地までお届けした後、そのドライバーを随伴車に回収して営業所に戻るという仕組みです。
交通手段が自家用車主体の地方都市を中心に発達し、飲酒運転の根絶を願う社会の要請にこたえる輸送サービスとして、いまや市民生活に広く定着している業種です。
自動車運転代行業の遵守事項
二種免許を所持せずに顧客車(代行運転自動車)を運転すれば無免許運転違反として処罰されます。また、免許のないことを知っていて業務に就かせた場合には、使用者等も「無免許運転の下命・容認違反」として処罰され、結果として罰金刑以上の刑に処せられた場合は認定が取り消されることとなります。
A 代行業に用いる随伴車はすべて損害賠償措置を講じておかなければなりません。
損害賠償措置は、利用者の自動車を運転中に事故を起こした場合の損害に対する賠償措置としての保険の締結であり、
国土交通省の規則等により
対人8,000万円 対物200万円 車両保険200万円(平成20年10月1日から代行運転自動車の車両保険義務化)
を最低補償額として満たしていなければなりません。
B 運転代行業者は、「自動車運転代行業の適正化に関する法律」を遵守することが義務付けられています。
C 随伴車の義務
代行業者の随伴車には「(都道府県名)公安委員会認定第○号(業者名)代行随伴用自動車」と表示しなければなりません。
規則第7条第1項による場合にあっては、自動車運転代行業者の名称又は記号、認定を行った都道府県公安委員会の名称及び認定番号並びに「代行」及び「随伴用自動車」の表示は、ペンキ等による横書きとし、車体の両側面に行うこと。
・代行及び随伴用自動車表示は、「ペンキ」「カッティングシート」「切り文字シール」「マーキングフィルム」「ステッカー」等により表示すること。ガムテープ等による貼り付けや、マグネット板(接着したものを含む)による表示は認められません。
・代行及び随伴用自動車表示に掲げる事項の各文字の大きさは原則として同じとし、縦横それぞれ5cm以上とすること。
・代行及び随伴用自動車表示に掲げる事項の各文字は、公衆及び利用者に見やすいように表示すること。
D 顧客者(代行運転自動車)を運転する場合の義務
車の前後に国家公安委員会規則で定められた代行運転自動車標識を表示しなければなりません。ただし、当該代行運転自動車の車体の材質又は状態その他の事情に照らして、代行運転自動車標識を付けることが困難又は不適当であると認められるときは、当該代行運転自動車標識を当該代行運転自動車の前面の見やすい箇所(ダッシュボード上を想定)に掲示することをもってこれに代えることができます。
※事業用登録を受けている車両を除き、代行業者の随伴車に顧客を乗せる行為は、白タク行為になり法律で禁止されている。
自動車運転代行業を営むことができな者(欠格要件)
次のいずれかに該当する人は、自動車運転代行業を営むことはできません。
1.破産手続開始の決定を受けて復権を得ないもの
2.禁固以上の刑に処せられ、又は「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」の規定により、若しくは「道路運送法(無許可旅客運送事業の禁止)」の規定若しくは道路交通法第75条第1項(使用者の義務の規定)の規定に違反し、若しくは同法第75条第2項若しくは同法第75条の2第1項の規定による命令に違反して罰金の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
3.最近2年間に「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律の規定」により、営業の停止、営業の廃止の命令に違反する行為をした者
4.集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法な行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
5.心身の故障により、自動車運転代行業の業務を適正に実施することができない者として国家公安委員会規則で定めるもの。(国家公安委員会規則で定めるものとは、精神機能の障害により、自動車運転代行業の業務を適正に実施するに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者)
6.営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者。(ただし、その者が自動車運転代行業の相続人であって、その法定代理人が前各号のいずれにも該当しない場合を除くものとする。)
7.代行運転自動車の運行により生じた利用者その他の者の生命、身体又は財産の損害を賠償するための措置が国土交通省令で定める基準に適合すると認められないことについて相当の理由がある者
8.安全運転管理者を選任すると認められないことについて相当の理由がある者
9.法人でその役員のうち1から5までのいずれかに該当する者があるもの
自動車運転代行業認定申請に必要な書類
自動車運転代行業を営もうとする場合には、主たる営業所を管轄する公安委員会の認定を受けなければなりません。
申請書類及び必要書類を主たる営業所を管轄する警察署に提出し、欠格要件に該当していないか、申請書類等に不備がないかについて審査を受けます。認定の審査には、概ね2か月程度かかります。問題がなければ認定され、認定書が交付されます。
申請書類 | 個人で申請 | 法人で申請 |
---|---|---|
自動車運転代行業認定申請書類・記載例 | 必要 | 必要 |
添付書類 | 個人で申請 | 法人で申請 |
---|---|---|
住民票の写し(婚姻により成年に達した者とみなされた未成年者は、戸籍の謄本又は抄本) | 必要 | 必要(役員全員分) |
誓約書 | 必要 | 必要(役員全員分) |
精神機能の障害に関する医師の診断書 | 必要 | 必要(役員全員分) |
法人登記事項証明書 | 不要 | 必要 |
定款又はこれに代わる書類 | 不要 | 必要 |
役員名簿(役員全員の住所氏名が記載されているもの) | 不要 | 必要 |
損害賠償措置を証する書類 | 必要 | 必要 |
安全運転管理者等の要件を備えていることを証する書類 | 必要 | 必要 |
未成年者登記事項証明書(民法の規定により営業を認められた未成年者の場合) | 必要 | 不要 |
第二種自動車運転免許証の保有確認 | 必要 | 必要 |
認定申請手数料:12,000円 | 必要 | 必要 |
※認定申請手数料は、認定を拒否された場合、返金されませんので、申請時には欠格事由に該当していないかを十分確認してください。
自動車運転代行業の安全運転管理者等
自動車運転代行業者は、随伴用自動車の台数にかかわらず、営業所ごとに安全運転管理者を選任しなくてはなりません。
また、営業所ごとに使用する随伴用自動車の台数が10台以上20台未満は1人、20台以上10台までを超えるごとに1人を加算した人数の副安全運転管理者を選任しなくてはなりません。
安全運転管理者等の要件を備えていることを証明する書類は、
・自動車の運転の管理に係る経歴書 (安全運転管理者・記載例)(副安全運転管理者・記載例)
・住民票の写し
・運転記録証明書
・運転免許証の写し
等を添付してください。これらを提出していただき、安全運転管理者としての資格要件を備えていることの審査を経て、管理者証を交付する手続となります。
安全運転管理者等の選任基準
【安全運転管理者】
自動車運転代行業者は、その自動車運転代行の営業所ごとに、年齢、自動車の運転の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、安全運転管理者を選任しなければならない。
(運転代行業法第19条の読替えて適用する道路交通法第74条の3第1項)
【副安全運転管理者】
安全運転管理者の業務を補助させるため、その運転代行業の営業所ごとに、年齢、自動車の運転の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、副安全運転管理者を選任しなければならない。(運転代行業法第19条の読替えて適用する道路交通法第74条の3第1項)
安全運転管理者の要件
【安全運転管理者】
1.20歳(副安全運転管理者が置かれることとなる場合にあっては30歳)以上の者であること。
2.自動車の運転の管理に関し2年(公安委員会が行う教習を終了した者にあっては、1年)以上の実務経験を有する者又は自動車の運転の管理に関しこれらの者と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者であること。
3.道路交通法第74条の3(運転代行業法第19条の読替え規定を含む)の規定による命令により解任された者は、解任の日から2年を経過していること。
4.過去2年以内に次の違反行為をしたことのない者
・ひき逃げ
・酒酔い運転、酒気帯び運転、飲酒運転に関し車両等を提供する行為、酒類を提供する行為、依頼又は要求して同乗する行為、麻薬等運転、無免許運転
・酒酔い運転、酒気帯び運転、過労運転、麻薬等運転、無免許・無資格運転、最高速度違反、積載制限違反、放置駐車違反の下命・容認違反
・自動車使用制限命令違反
・妨害運転に係る罪
【副安全運転管理者】
1.20歳以上の者
2.自動車の運転の管理に関し1年以上の実務経験を有する者、自動車の運転の経験の期間が3年以上の者又は自動車の運転の管理に関しこれらの者と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者であること。
3.道路交通法第74条の3(運転代行業法第19条の読替え規定を含む。)の規定による命令により解任された者は、解任の日から2年を経過していること。
4.過去2年以内に次の違反行為をしたことのない者
・ひき逃げ
・酒酔い運転、酒気帯び運転、飲酒運転に関し車両等を提供する行為、酒類を提供する行為、依頼又は要求して同乗する行為、麻薬等運転、無免許運転
・酒酔い運転、酒気帯び運転、過労運転、麻薬等運転、無免許・無資格運転、最高速度違反、積載制限違反、放置駐車違反の下命・容認違反
・自動車使用制限命令違反
・妨害運転に係る罪
安全運転管理者の業務
1.自動車の運転に関する運転者の適性、技能及び知識並びに道路交通法及び運転代行業法並びにこれらに基づく命令の規定並びにこれらの規定に基づく処分の運転者による遵守の状況を把握するための措置を講ずること。
2.道路交通法第22条の2第1項に規定する最高速度違反行為、法第58条の3第1項に規定する過積載をして自動車を運転する行為、法第66条の2第1項に規定する過労運転及び運転代行業法第19条第1項の規定により読替えて適用される道路交通法第75条第1項第7号に規定する駐停車違反行為の防止その他安全な運転の確保に留意して、自動車の運行計画を作成すること。
3.運転者が長距離の運転又は夜間の運転に従事する場合であって、疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、あらかじめ、交替するための運転者を配置すること。
4.異常な気象、天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、運転者に対する必要な指示その他安全な運転の確保を図るための措置を講ずること。
5.運転しようとする運転者に対して点呼を行う等により、道路運送車両法第47条の2第2項の規定により当該運転者が行わなければならないこととされている自動車の点検の実施及び飲酒、過労、病気その他の理由により正常な運転をすることができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。
6.運転者名、運転の開始及び終了の日時、運転した距離その他自動車の運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。
7.運転者に対し、自動車の運転に関する技能、知識その他安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行うこと。(交通安全教育を行うことを除く。)