在留特別許可とは不法残留や不法入国などで本邦に不法に滞在している退去強制の対象となる外国人に対して、法務大臣が特別に在留資格を与える制度です。
令和5年入管法等改正法により、在留特別許可の申請手続が創設され、その考慮事情が法律上明示されました。
法務大臣は、外国人が退去強制対象者に該当する場合であっても、(1)永住許可を受けているとき、(2)かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき、(3)人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき、(4)難民の認定又は補完的保護対象者の認定を受けているとき、(5)その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるときは、当該外国人からの申請により又は職権で、当該外国人の在留を特別に許可することができることとなりました。ただし、当該外国人が、無期若しくは一年を超える拘禁刑(実刑)に処せられるなど一定の前科を有する者又は一定の退去強制事由に該当する者である場合は、在留特別許可をしないことが人道上の配慮に欠けると認められる「特別の事情」がない限り、在留特別許可はされません。
そして、在留特別許可の許否判断に当たっては、在留を希望する理由、家族関係、素行、本邦に入国することとなった経緯、本邦に在留している期間、その間の法的地位、退去強制の理由となった事実及び人道上の配慮の必要性を考慮するほか、内外の諸情勢及び本邦における不法滞在者に与える影響その他の事情を考慮することが明示されました。