自動車運転代行業

Ⅰ.自動車運転代行業とは

主に飲酒などの理由で自分の車を運転することができなくなったお客さまに代わって運転し、お客さまの自動車を目的地(主に依頼者の自宅)に送るサービスです。「代行運転」ともいわれます。
通常はドライバーが2名1組となって、1名がお客さまの車にお客さまを乗せ、それにもう1名が運転する随伴車が追走し、お客さまを目的地までお届けした後、そのドライバーを随伴車に回収して営業所に戻る、という仕組みです。
昭和50年頃から交通手段が自家用車主体の地方都市を中心に発達し、飲酒運転の根絶を願う社会の要請に応える輸送サービスとして、いまや市民生活に広く定着している業種です。

・開業するには、公安委員会の認定が必要です。
・客車を運転するドライバーは二種免許が必要です。
・代行業に用いる随伴車にはすべて損害賠償措置を講じておかなければなりません。
・運転代行事業者は、「自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律」を遵守することが義務付けられています。

 

Ⅱ.自動車運転代行業を営むことができない者

1.成人被後見人若しくは被保佐人又は破産者で復権を得ないもの
2.禁固以上の刑に処せられ、又は自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律(以下「運転代行業法」という)の規定及び
 (1)道路運送法第4条第1項【一般乗合旅客自動車運送事業の免許】
 (2)道路運送法第43条第1項【特定旅客自動車運送事業の許可】
 (3)道路運送法第78条(旅客の運送に係る部分に限る。)【自家用自動車の有償運送の許可】
 (4)道路交通法第75条第1項【自動車の使用者義務】
 (5)道路交通法第75条第2項【(4)の下命容認違反に係る自動車の使用制限命令】
 (6)道路交通法第75条の2第1項【違反行為防止措置の指示に係る自動車の使用制限命令】
 に違反して罰金の刑に処せられその執行が終わり、又は執行を受けることがなくなった日から起算して2年を経過しない者
3.最近2年間に運転代行業法の規定による次の命令に違反する行為をした者
 (1)第23条第1項【公安委員会による営業停止命令】
 (2)第24条第1項【公安委員会による営業廃止命令】
 (3)第25条第2項【処分移送通知書の送付を受けた公安委員会による営業停止、営業廃止命令】
4.集団的に、又は常習的に暴力的不法行為その他の罪に当たる違法行為で国家公安委員会規則で定めるものを行うおそれがあると認めるに足りる相当な理由がある者
5.営業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者
 (自動車運転代行業者の相続人であって、その法定代理人が前記各項目のいずれにも該当しない場合を除く。)
6.代行運転自動車の運行により生じた利用者その他の者の生命、身体又は財産の損害を賠償するための措置が国土交通省令で定める基準に適合すると認められないことについて相当な理由がある者
7.安全運転管理者等を選任すると認められないことについて相当な理由がある者
8.法人でその役員のうちに上記1〜4までのいずれかに該当する者があるもの

 

Ⅲ.認定申請に必要な書類

自動車運転代行業を営もうとする場合には、主たる営業所を管轄する公安委員会の認定を受けなければなりません。
申請書及び添付書類を営業所の所在地を管轄する警察署に提出し、欠格要件に該当していないか、申請書類が整っているか等について審査を受けることになります。認定の審査に概ね2ヶ月弱ほどかかり、問題がなければ認定され、認定書が交付されます。
<個人経営の場合>

1.申請書 記載例
2.戸籍の謄本又は抄本(外国人にあっては、住民票の写し)
3.認定を受けようとする者を成年被後見人等とする登記記載がない旨の登記事項証明書
4.未成年者の登記事項証明((営業を許された未成年者の場合)
5.損害賠償措置が分かる書類(損害賠償責任保険契約の締結を証する書面等)
6.安全運転管理者等の選任関係書類
 ア.安全運転管理者となる人の住民票の写し
 イ.自動車の運転管理に関する経歴書(既に選任済みの者は届出済証)
 ウ.運転記録証明書
7.随伴用自動車の登録番号等記載書類(申請書記載事項)
8.料金表
9.認定申請手数料(12,000円)

<法人経営の場合>

1.申請書 記載例
2.法人の登記事項証明書
3.定款又はこれに代わる書類
4.役員の氏名及び住所を記載した名簿
5.役員の戸籍の謄本又は抄本(外国人にあっては、住民票の写し)
6.役員の成年被後見人等とする登記記載がない旨の登記事項証明書
7.損害賠償措置が分かる書類(損害賠償責任保険契約の締結を証する書面等)
8.安全運転管理者等の選任関係書類
 ア.安全運転管理者となる人の住民票の写し
 イ.自動車の運転管理に関する経歴書(既に選任済みの者は届出済証)
 ウ.運転記録証明書
9.随伴用自動車の登録番号等記載書類(申請書記載事項)
10.料金表
11.認定申請手数料(12,000円)

※以上の必要書類のほか、第二種自動車運転免許の保有確認(提示等)などを行います。【個人・法人共通】

 

Ⅳ.自動車運転代行業の安全管理者等

<安全運転管理者等の選任基準>
1.安全運転管理者
自動車運転代行業者は、その自動車運転代行の営業所ごとに、年齢、自動車の運転の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、安全運転管理者を選任しなければならない。(運転代行業法第19条の読替えて適用する道路交通法第74条の3第1項)
2.副安全運転管理者
安全運転管理者の業務を補助させるため、その運転代行業の営業所ごとに、年齢、自動車の運転の経験その他について内閣府令で定める要件を備える者のうちから、副安全運転管理者を選任しなければならない。(運転代行業法第19条の読替えて適用する道路交通法第74条の3第1項)副安全運転管理者の人数については、随伴用自動車の台数に応じ、同表に掲げる人数以上の副安全運転管理者を選任して行うものとする。

運転代行業法第2条第7項に規定する随伴自動車の台数
・10台以上20台未満の場合は1名
・20台以上の場合は1名に20台以上10台までを超えるごとに1名を加算して得た人数

<安全運転管理者の要件>
(1)安全運転管理者
イ.20歳(副安全運転管理者が置かれることとなる場合にあっては30歳)以上の者であること。
ロ.自動車の運転の管理に関し2年(公安委員会が行う教習を終了した者にあっては、1年)以上の実務経験を有する者又は自動車の運転の管理に関しこれらの者と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者であること。
ハ.道路交通法第74条の3(運転代行業法19条の読替え規定を含む)の規定による命令により解任された者は、解任の日から2年を経過していること。
ニ.過去2年以内に次の違反行為をしたことのない者
1.ひき逃げ
2.酒酔い運転、麻薬運転、無免許運転
3.酒酔い、酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許・無資格運転、最高速度違反、積載制限違反、放置駐車違反の下命容認違反
4.自動車使用制限命令違反
(2)副安全運転管理者
イ.20歳以上の者
ロ.自動車の運転の管理に関し1年以上の実務経験を有する者、自動車の運転の経験の期間が3年以上の者又は自動車の運転の管理に関しこれらの者と同等以上の能力を有すると公安委員会が認定した者であること。
ハ.道路交通法第74条の3(運転代行業法第19条の読替え規定を含む。)の規定による命令により解任された者は、解任の日から2年を経過していること。
ニ..去2年以内に次の違反行為をしたことのない者
1.ひき逃げ
2.酒酔い運転、麻薬運転、無免許運転
3.酒酔い、酒気帯び運転、麻薬等運転、過労運転、無免許・無資格運転、最高速度違反、積載制限違反、放置駐車違反の下命容認違反
4.自動車使用制限命令違反
<安全運転管理者の業務>
1..自動車の運転に関する運転者の適性、技能及び知識並びに道路交通法及び運転代行業法並びにこれらに基づく命令の規定並びにこれらの規定に基づく処分の運転者による遵守の状況を把握するための措置を講ずること。
2.道路交通法第22条の2第1項に規定する最高速度違反行為、法第58条の3第1項に規定する過積載をして自動車を運転する行為、法第66条の2第1項に規定する過労運転及び運転代行業法第19条第1項の規定により読替えて適用される道路交通法第75条第1項第7号に規定する駐停車違反行為の防止その他安全な運転の確保に留意して、自動車の運行計画を作成すること。
3.運転者が長距離の運転又は夜間の運転に従事する場合であって、疲労等により安全な運転を継続することができないおそれがあるときは、あらかじめ、交替するための運転者を配置すること。
4.異常な気象、天災その他の理由により、安全な運転の確保に支障が生ずるおそれがあるときは、運転者に対する必要な指示その他安全な運転の確保を図るための措置を講ずること。
5.転しようとする運転者に対して点呼を行う等により、道路運送車両法第47条の2第2項の規定により当該運転者が行わなければならないこととされている自動車の点検の実施及び飲酒、過労、病気その他の理由により正常な運転をすることができないおそれの有無を確認し、安全な運転を確保するために必要な指示を与えること。
6.運転者名、運転の開始及び終了の日時、運転した距離その他自動車の運転の状況を把握するため必要な事項を記録する日誌を備え付け、運転を終了した運転者に記録させること。
7.運転者に対し、自動車の運転に関する技能、知識その他安全な運転を確保するため必要な事項について指導を行うこと。(交通安全教育を行うことを除く。)
<損害賠償措置>
利用者の自動車を運転中に事故を起こした場合の損害に対する賠償措置としての保険の締結であり、国土交通省の規則等により最低補償額として以下の金額満たしていなければなりません。
・対人8,000万円 
・対物200万円
・車両保険200万円(平成20年10月1日から代行運転自動車の車両保険義務化)