ドローン飛行許可・承認

Ⅰ.ドローンとは

ドローンとは、遠隔操縦あるいは自律式の無人航空機一般を指して使われています。英語圏では単に無人航空機のことを指すこともありますが、特に無線機と区別して自立性を持っている機体を指して使われるます。
@無人航空機とは
航空法において無人航空機とは、「人が乗ることができない飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」と定義されており、マルチコプター・ラジコン機・農薬散布用ヘリコプター等が該当します。
日本では、一般的にマルチコプターをドローンと呼んでいます。(マルチコプターとは、ヘリコプターの一種で、3つ以上のローターを搭載した回転翼機のこと)
ただし、マルチコプターやラジコン機等であっても、重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)200g未満のものは、無人航空機ではなく「模型航空機」に分類されます。
A模型航空機とは
ゴム動力模型機、重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)200g未満のマルチコプター・ラジコン機等は航空法上「模型航空機」として扱われ、無人航空機の飛行に関するルールは適用されず、空港周辺や 一定の高度以上の飛行について国土交通大臣の許可等を必要とする規定(第99条の2)のみが適用されます。

 

Ⅱ.ドローンに関する規制

(1)無人航空機の飛行の許可が必要となる空域について
@空港等の周辺の上空の空域
進入表面、転移表面、円錐表面の上空の空域、進入表面がない飛行場周辺の航空機の離着陸に影響を与える恐れのある空域が該当します。すなわち、飛行機等の離着陸に影響を及ぼすおそれのある空港周辺の空域です。空港等の周辺に該当するかの確認は地理院地図より確認できます。
A人口密集地の上空
総務省統計局が5年ごとに実施している「国勢調査」の結果に基づいて設定されるのが人口集中地区(DID地区)です。5年ごとに変わる可能性があるため、最新情報を常に入手しておく必要があります。人口集中地域に該当するかの確認は地理院地図より確認できます。
B150m以上の高さの空域
地表または水面から150m以上の高さの空域です。分かりやすく例えると、山頂から水平に飛ばすと、麓に向かって山の地表は降っているため、徐々にドローンと地表との差が大きくなります。150mを超えた時点で違反となることがあるため、注意しましょう。150m以上の高さというのは非常に曖昧ですが、ドローンを飛行させようと思っている空域が「民間試験訓練空域(訓練空域)」に該当する場合、その空域を管轄する管制機関との調整が必要になります。
(2)飛行のルール
※@〜Cは令和1年9月18日付で追加されました。
@アルコール又は薬物等の影響下で飛行させないこと
A飛行前確認を行うこと
B航空機又は他の無人航空機との衝突を予防するよう飛行させること
C他人に迷惑を及ぼすような方法で飛行させないこと
D日中(日出から日没まで)に飛行させること
E目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
F人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
G祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
H爆発物など危険物を輸送しないこと
I無人航空機から物を投下しないこと
@〜Cは、遵守事項となる飛行の方法です。D〜Iは、承認が必要となる飛行の方法です。

<捜索又は救助のための特例について>
上記の(1)及び(2)D〜Iの飛行ルールについては、事故や災害時に、国や地方公共団体、また、これらの者の依頼を受けた者が捜索又は救助を行うために無人航空機を飛行させる場合については、適用されないこととなっています。
一方、本特例が適用された場合であっても、航空機の航行の安全や地上の人等の安全が損なわれないよう、必要な安全確保を自主的に行う必要があることから、当該安全確保の方法として、以下の運用ガイドラインを当局として定めていますので、特例が適用される機関や者については、本運用ガイドラインを参照しつつ、必要な安全確保を行うようにして下さい。
○航空法第132条の3の適用を受け無人航空機を飛行させる場合の運用ガイドライン

(3)関係法令及び条例等について
無人航空機の利用者は、以下の関係法令及び地方公共団体が定める条例等を遵守して飛行させてください。
小型無人機等飛行禁止法(警察庁)
ドローン等に求められる無線設備(総務省)
ドローンによる映像撮影等のインターネット上での取り扱い(総務省)
無人航空機の飛行を制限する条例等

 

Ⅲ.許可・承認申請手続について

空港等の周辺の空域や人口集中地区の上空を飛行させる場合等、また、夜間や目視外等において無人航空機を飛行させる場合等には、地方航空局長の許可や承認が必要です。
申請書は飛行開始予定日の少なくとも10開庁日前までに、申請内容に応じて、地方航空局又は空港事務所あてに不備等がない状態で提出して頂く必要があります。不備があった場合、補正期間がありますので、許可までの日数が増えます。時間に余裕をもって申請して下さい。実際には、飛行開始予定日から3〜4週間程度事前に申請することをお勧めします。
無人航空機を飛行させる場合には、都道府県・市区町村等の地方公共団体が定める条例等により飛行が禁止されている場所・地域がありますので、地方航空局への申請にあたっては、必ず、飛行を希望する地域で無人航空機の飛行が可能か確認し、必要な手続きを済ませることが必要です。
申請方法について
● 無人航空機の飛行に関する許可・承認に係る申請方法
申請書様式、作成要領等について
● 無人航空機の飛行に関する許可・承認申請書
● 申請書の作成要領及びチェックリスト

 

申請書記載例について
1.資料の一部を省略することができる無人航空機(申請書様式2のホームページ掲載無人航空機に該当)の場合の申請書記載例
  例1:人口集中地区上空の飛行、人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行、催し場所上空の飛行
  例2:夜間飛行
  例3:目視外飛行
  例4:危険物の輸送、物件投下(農薬散布等)
  例5:飛行経路が特定されない飛行
  例6:空港等の周辺の空域、地表または水面から150m以上の高さの空域の飛行
  例6-1:空港周辺(1号告示空域)の空域での飛行

 

2.1.以外の機体の場合の申請書記載例
  例7:人口集中地区上空の飛行、人又は物件から30m以上の距離を確保できない飛行、催し場所上空の飛行
  例8:夜間飛行
  例9:目視外飛行
  例10:危険物の輸送、物件投下(農薬散布等)
  例11:飛行経路が特定されない飛行
  例12:空港等の周辺の空域、地表または水面から150m以上の高さの空域の飛行
  例12-1:空港周辺(1号告示空域)の空域での飛行

 

3.飛行マニュアルの作成例
個別に飛行マニュアルを作成する場合には、航空局標準マニュアルを参考にしてください。航空局標準マニュアルを使用する場合には、飛行マニュアルの作成及び申請書への添付は不要になります。(詳細は後述の「省略可能な申請書類について」をご参照ください)
目視外飛行において、無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領5-4(3)キ)に基づいて航空機の確認を行う場合には、こちらをご参照ください。

 

   ・飛行場所を特定した申請の飛行マニュアル作成例
    航空局標準マニュアル01
   ・飛行場所を特定しない申請(飛行の経路の特定が必要な飛行を除く)の飛行マニュアル作成例
    航空局標準マニュアル02

 

4.その他
許可等を必要とする無人航空機の飛行において、飛行訓練等で無人航空機を飛行させる者に10時間の飛行経歴がなくても十分な飛行経験を有した監督者の下で飛行を行うこと等を条件として許可等を行うなど、安全性の確保を前提に柔軟な対応を実施しているところです。本事例についてご紹介いたしますので、飛行訓練等で飛行経歴が10時間に満たない者が飛行する申請の際の御参考にしてください。
   ・「飛行経歴が10時間に満たなくても認められた無人航空機の飛行の許可・承認の例」

 

飛行の日時、飛行の経路の特定が必要な飛行について
・次の飛行を行う場合は、飛行の日時を特定し記載すること。
 ○人又は家屋の密集している地域の上空で夜間における目視外飛行
 ○催し場所の上空における飛行
・次の飛行を行う場合は、飛行の経路を特定し記載すること。
 ○進入表面等の上空の空域又は航空機の離陸及び着陸の安全を確保するために必要なものとして国土交通大臣が告示で定める空域における飛行
 ○地表若しくは水面から150m以上の高さの空域における飛行
 ○人又は家屋の密集している地域の上空における夜間飛行
 ○夜間における目視外飛行
 ○補助者を配置しない目視外飛行
 ○催し場所の上空の飛行
 ○趣味目的での飛行

 

包括申請、代行申請、許可・承認期間について
(包括申請)
○同一の申請者が一定期間内に反復して飛行を行う場合又は異なる複数の場所で飛行を行う場合の申請は、包括して申請することが可能です。
(代行申請)
○飛行の委託を行っている者(委託元)が委託先の飛行をまとめて申請する場合や、複数の者が行う飛行をまとめて申請する場合などについては、代表者による代行申請が可能です。
※なお、報酬を得て、官公署に提出する書類の作成を、行政書士以外の者が行う場合には、行政書士法違反となります。
(許可等の期間)
○許可等の期間は原則として3ヶ月以内としますが、継続的に無人航空機を飛行させることが明らかな場合には1年を限度として許可等を行います。ただし、人又は家屋の密集している地域の上空で夜間における目視外飛行、催し場所の上空における飛行は除く。

 

申請書の提出先について
許可・承認の申請書については、飛行開始予定日の少なくとも10日前(土日祝日等を除く。)までに、
 ・空港等の周辺又は地上等から150m以上の高さの空域における飛行の許可の申請(法第132条第1号の空域における許可申請) → 空港事務所長
 ・それ以外の許可・承認申請 → 地方航空局長
に、それぞれ郵送などで提出する必要があります。なお、最寄りの空港事務所を経由して地方航空局に申請を行うことも可能です。各地方局、空港事務所の連絡先等については、以下の「許可・承認申請書の提出官署の連絡先」をご参照下さい。
許可・承認申請書の提出官署の連絡先

 

Ⅳ.罰則等

航空法の規制に違反した場合「50万円以下の罰金」が科せられます。また、小型無人機等飛行禁止法による規制に違反した場合は、より重い「1年以下の懲役又は50万円以下の罰金」に処せられます。
電波法による規制に違反した場合は、さらに重い「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金(ケースによっては5年以下の懲役又は250万円以下の罰金)」に処せられます。
このように、ドローンの飛行に関する規制に違反すると罰金や懲役刑が科せられることがあります。