相続

Ⅰ.相続とは

「相続」とは、ある人が死亡したときにその人の財産(すべての権利や義務)を、特定の人が引き継ぐことをいいます。
簡単にいうと、亡くなった人の財産を配偶者や子どもといった関係者がもらうことです。相続では、この亡くなった人を「被相続人」、財産をもらう人を「相続人」といいます。

亡くなった人(被相続人)

財産をもらう人(相続人)

 

Ⅱ.遺産とは

「遺産」とは、亡くなった人の財産のことです。具体的には、次のようなものがあり、相続の対象となります。
●現金や預貯金
●株式などの有価証券
●車・貴金属などの動産
●土地・建物などの不動産
●借入金などの債務
●賃借権・特許権・著作権などの権利

 

Ⅲ.相続の方法

相続の方法には、おもに次の3つがあります。

<種類> 
法定相続 
遺言による相続 
分割協議による相続 

<内容>
民法で決められた人が決められた分だけもらう相続
亡くなった人が遺言書により相続の内容を決める相続
相続人全員で協議して遺産の分割方法を決める相続

遺言書がある場合は、原則、遺言書に沿って相続します。一方、遺言書がない場合はどうするのでしょう。
民法では「誰がどれだけ相続するか」が決められているので、それに沿って相続します。これを「法定相続」といいます。
また、相続人全員で協議して、それぞれの事情に応じて分けることもできます。これを「分割協議による相続」といいます。

 

Ⅳ.相続をもらえるのは、法定相続人と受遺者

遺産をもらえる人は、次のいずれかになります。

●法定相続人…民法で決められた相続人で、亡くなった人の配偶者又は子若しくは親、兄弟姉妹等
●受遺者………遺産を譲り受ける人として、遺言書で指定された人

未成年者への相続
未成年者が相続人になる場合、未成年者には「代理人」を立てる必要があります。
通常、代理人は親が務めます(法定代理人)。しかし、親も未成年者である子も、ともに相続人で、相続人全員で遺産分割協議が行われる場合などは、親が未成年者の代理人になれないことがあります。親と未成年者である子は利益相反関係となるからです。このような場合には、「特別代理人」の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。そして代理人は未成年者に代わり、遺産分割協議や手続書類の記入・捺印などを行うことになります。
ただし、未成年者であっても結婚しているなど、成人とみなされる場合もあります。

 

Ⅴ.法定相続人の範囲

法定相続の場合、遺産をもらえる人は決まっています
法定相続人になれるのは、配偶者と血族です。
同じ順位の人が複数いる場合は、全員が相続人となります。また、先順位の人が1人でもいる場合は、後順位の人は相続人になれません。
●配偶者…必ず相続人になる
●血族……優先順位が高い人が相続人になる
<優先順位>   <血族の種類>
第1順位     子および代襲相続人
第2順位     両親などの直系尊属
第3順位     兄弟姉妹および代襲相続人
孫は相続できないの?
Aさんには、2人子どもがいましたが、子どもの1人が孫を遺して死亡していたとします。この場合、Aさんの財産を孫は相続できないのでしょうか。
答えは「できる」です。法定相続人である子が死亡している場合は、代わりに孫が相続することができます。
これを「代襲相続」といいます。孫が死亡している場合はひ孫が兄弟姉妹が死亡している場合は甥や姪が、それぞれ代襲相続することができます。
ただし、甥や姪が死亡している場合、その甥や姪の子には代襲相続はできません

これ以上の代襲相続を認めてしまうと、どこまでも代襲相続することができることになってしまい、相続が確定しません。

 

Ⅵ.相続の流れ

相続の流れは、原則以下のようになります。

<時期>
速やかに

<主な手続・届出>
●公的年金への志望届出・未支給年金の請求
●健康保険証の返還
●世帯主変更届の提出
●生命保険の請求
●遺言書の検認手続(公正証書遺言を除く)

<時期>
3か月以内

<主な手続・届出>
●遺産、債務の把握
●相続人の調査・確定
●相続の放棄又は限定承認

<時期>
4か月以内

<主な手続・届出>
●所得税の申告・納付

<時期>
10か月以内

<主な手続・届出>
●遺産分割協議、協議書作成
●不動産等の所有権移転登記等、その他名義変更手続
●相続税の申告・納付


1.相続人の確定
相続人は誰なのかを確定することは、相続手続をする上で必須です。すなわち、「遺産分割協議」の当事者を明確にすることです。相続人に漏れがあると、遺産分割協議そのものが無効となってしまいます。相続人を確定するために、相続人全員の戸籍謄本が必要になります。
2.相続財産の調査(財産目録の作成)
被相続人の所有するすべての相続財産を明確にします。相続財産も漏れがあることで、相続手続上問題が生じることもあります。相続人や同居者が管理していたものであれば、把握することも容易ですが、被相続人自身が掌握していた場合は、さまざまな資料を基に財産調査をしなければなりません。
<不動産>
市区町村役場の名寄帳若しくは法務局の登記事項証明等で確認します。
<預貯金>
銀行等に残高証明書を発行してらいます。どの銀行に口座があるかわからない場合は、被相続人が預けていそうな金融機関を探す必要があります。
<有価証券>
証券会社に残高証明書を発行してもらいます。
<その他>
不動産以外に動産(車・貴金属・宝石・美術品・電話加入権等)について調べます。
<借入>
借金、その他債務について調べます。正直難しい調査になりますが、これを明確にしていおかないと後々大変なことになりかねません。
3.遺産分割協議
遺言書があればそれに従うのが原則ですが、遺言書がない場合には、遺産分割協議をすることになります。どれだけ相続するかは、相続の方法が、「法定相続」か「分割協議による相続」かによって異なります。分割協議を行う場合は協議を通して相続割合を決めますが、法定相続の場合は民法で定められた割合で相続することになっています。同順位の人が複数いる場合は、人数でその相続分を割ります。
遺言書がある場合でも、協議によって変更することも可能です。遺産分割協議は、@でも述べたように、相続人全員が揃った上で行わなければなりません。
なお、預金は遺産分割協議の対象とされています。法定相続の割合は表の通りですが、遺言がない場合、原則として相続人全員の同意がなければ、被相続人の預金を払い戻すことができません。
4.遺産分割協議書作成
相続人が全員で協議して相続分を定めたときは、あとから問題とならないように、定めた内容を文書にして残します。内容に異議がなければ、相続人全員が署名・捺印します。
遺産分割協議が終了したら、不動産登記・金融資産の名義変更が必要になります。

 

Ⅶ.相続手続に必要な書類

<被相続人に関する書類>
@被相続人の除籍謄本(出生〜死亡まで)
A被相続人の住民票の除票
B遺言書(遺言書がある場合)
<相続人に関する書類>
@相続人全員の戸籍謄本
A相続人全員の住民票
B相続人全員の印鑑登録証明書
C相続関係図
D遺産分割協議書
E代理人の選任決定書(相続人が未成年の場合)
<相続財産に関する書類>
●不動産
@名寄帳・登記事項証明書
A土地・建物の権利書(登記識別情報)
B公図・地積測量図・建物図面
C固定資産評価証明書
D建築確認書・引渡書等(未登記の建物がある場合)
●預貯金
@残高証明書
●有価証券
@銘柄別一覧表
A上場株式の写し又は保護預かり残高証
B取引証券会社の顧客元帳
C自己保有の有価証券
D保護預有価証券の保護預かり証
E国債等の証券
F貸付信託等の受益証券
●生命保険
@保険証券
A保険会社の支払明細書・保険金通知書
●その他
@古美術品等の明細と鑑定書
A貴金属・宝石
Bゴルフ会員権
C自動車の車検証のコピー
D個人年金証
E貸付金の明細書
F死亡退職金、弔慰金等の支払通知
<債務等に関する書類>
@借入金の残高証明書
A未払いの請求書・領収書
B税金の納付書・領収書
C医療費の領収書
D葬儀費用の明細書・領収書・香典帳簿
※上記以外にも必要となる書類がある場合もあります。その都度、ご確認ください。